大峰山は未だに女人禁制
2004年7月にユネスコの世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」がある大峰山(おおみねさん)ですが、金峯山(きんぷせん)とも言われてきた奈良県の中央にそびえる山です。
日本百名山では大峰山の名がありますが、これは山上ヶ岳から熊野までを大峯と呼ぶ大峯山脈中にある近畿最高峰の「八経ヶ岳」を示しています。しかし、地元では山上ヶ岳の事を大峰山と呼んでいるようです。
その大峰山の象徴とも言える山上ヶ岳は標高1719メートルで奈良県吉野郡天川村に位置する山で、古くから修験道の山として山伏の修行の場として利用されていました。 頂上付近には修験道の根本道場である大峰山寺山上蔵王堂というものがあり、山全体を聖域として扱われ、宗教上の理由により女人禁制となっています。
この「大峰山の女人禁制」は物議が交わされ、1300年の伝統を守るために女人禁制を維持する意見もあれば、男女差別の観点から今では撤廃すべきとの意見もあります。個人的には宗教上の理由であれば現代では自由尊重の時代なので、女人禁制は解除してもいいのではないかと思いますが、未だに女人禁制は解禁されず、反対運動もあるようです。
山上ヶ岳の麓には温泉集落があり、現在では多くの参拝者のための旅館が立ち並んでいます。この集落は洞川(どろかわ)というところで、現在は道路も整備されて、観光に便利な場所となっています。
大峰山の周りには多くの文化が彩っています
同じく奈良県吉野郡天川村に位置する稲村ヶ岳は標高1726メートルあり、大峰山と名乗られる山脈のうち、「花の百名山」として亜高山植物に富み、有名な観光地となっています。 また、稲村ヶ岳は山上ヶ岳とは異なり、1959年より女人禁制を開放しているため、「女人大峯」とも呼ばれています。 本峰と大日山の2峰があり、山上辻に稲村ヶ岳の山小屋があります。
日本百名山で大峰山の名で示されている八経ヶ岳は標高1915メートルで、奈良県吉野郡天川村と上北山村の境に位置する山です。
八剣山、または仏経ヶ岳とも呼ばれています。 多くの花が咲く山としても有名で、初夏にはシャクナゲ、シロヤシオが咲き、7月の初旬には天然記念物として登録されているオオヤマレンゲが咲く山として注目されています。
また、大峰山の麓となる天川村は古い歴史を持っており、日本3大弁財天の一つでもある天河大弁財天社があります。
奈良の世界遺産、女人禁制の山上ヶ岳、天河大弁財天社のある天川村と、大峰山の周りには多くの文化が彩っています。